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2020-9h(一般記事)生徒理科研究論文の書き方(改訂版)

Seitonorika 2020-9, 2020年8月20日掲載, Pdfダウンロード

生徒の理科研究所
〒623-0342 京都府綾部市金河内町奥地22番地, https://seitonorika.jp,  uketuke@seitonorika.jp

要旨:1.論文を読んで研究とは何かを学ぶ、2.生徒理科研究には新規性が必要である、3.研究論理の遵守、4.投稿論文の作成法、5.図・表の作成法、の5節からなる。生徒理科研究論文を書くにあたって最小限必要な知識を「論文発表をめざす生徒理科研究法 第1章~第6章」(生徒の理科研究所)から抜粋してまとめた。
類別:一般記事   分野:生徒理科研究  キーワード:論文の構成、新規性、論文の書き方、図・表の作成法

 はじめに

 生徒理科研究論文を書くにあたって最小限必要な知識を「論文発表をめざす生徒理科研究法 第1章~第6章」(生徒の理科研究所)から抜粋してまとめました。以下の5節からなります1.論文を読んで研究とは何かを学ぶ、2.生徒理科研究には新規性が必要である、3.研究倫理の遵守、4.投稿論文の作成法、5.図・表の作成法。第1節は「論文発表をめざす生徒理科研究法 第1章 論文を読んで研究とは何かを学ぶ」から、第2節は「論文発表をめざす生徒理科研究法 第2章 生徒理科研究には新規性が必要である」から、第3節は「論文発表をめざす生徒理科研究法 第4章 実験・調査の実施と中間報告書の作成法」から、第4節と第5節は「論文発表をめざす生徒理科研究法 第5章 研究発表:ポスターと投稿論文の作成法」から抜粋しました。読者には、ぜひ、原文の「論文発表をめざす生徒理科研究法 第1章~第6章」(https://seitonorika.jp/kenkyuhoho/)を読み、生徒理科研究の方法と発表論文作成法の全体を理解して論文作成に取り組まれるよう期待します。

 1.論文を読んで研究とは何かを学ぶ

 生徒は理科の勉強は知っていても、理科研究の経験はほとんどありません。そこで研究に取り組むには、まず、「研究とは何か」について前もってイメージ(見通し)をつくっておく必要があります。そのためのもっとも有効な方法は論文を読むことです。日本学生科学賞(読売新聞社)(*1)の最近の受賞論文を読むとよいでしょう。論文の構成には未熟さがありますが、研究そのものはしっかりしているものばかりです。各自が読むだけでなく、論文講読演習として、教師による授業指導やグループ講読会により、論文の構成と科学的論理展開法への理解を深めます。大学での研究室ゼミのように、生徒自身による論文紹介を行うのも効果的です。各人が1編だけでなく数編の論文を読み、基本パターンと多様性を理解することが大切です。

*1 日本学生科学賞(読売新聞社)(https://event.yomiuri.co.jp/jssa/). 受賞論文のpdfファイルが「理科自由研究データベース」(御茶ノ水女子大学)(http://sec-db.cf.ocha.ac.jp/)でweb公開されています。

まず論文を概観しながらつぎのことを確認しましょう。①論文は、研究成果を社会的に公表・記録し、科学の発展と社会に貢献するために書かれたものです。授業単位を取得したり、コンクールで賞をとったり、大学入試を有利にしたりするためにあるのではありません。論文を出版・公表して初めて研究成果は人々のものになり、社会の財産になります。②科学論文は読者に効果的に内容を伝えるために、一定の様式に従って書かれています。すなわち、論文は、研究課題(テーマ)、著者名、要旨、はじめに、材料と方法、結果、考察、謝辞、引用文献からなっています。

図1 科学論文の構成 論文は一定の様式に従って記述される。

③研究課題(テーマ)は読者が内容をすぐに理解できるように具体的で正確な言葉をもちいて短くあらわされています。④要旨には研究の研究目的と結果・結論が短くまとめられています。⑤「はじめに」には研究を論文発表する理由と研究目的、すなわち、文献引用による既知情報のまとめと、新規の課題・問い(疑問)の提起、研究結果と結論の概要が説明されています。⑥材料と方法には、研究対象・材料・調査地、実験・調査方法・データの取り方、データ処理のしかたが、同じ分野の研究者なら追試できるように書かれています。⑦結果では、まず、実験・調査・理論計算の結果が図・写真・表・グラフや計算式にもとづき説明され、さらにそこから論理的に導かれる結論が説明されています。⑧考察では、結果・結論を短くまとめた上で、その新規性と学問的意義および社会的意義についての著者の考えが、先行研究や関連情報を引用しながら説明・議論されています(*2)。

*2 論文の各構成要素の詳しい説明は、本稿の「第5章ポスターと投稿論文の作成法」参照。

論文は正確に読む、分析的に読む、批判的に読みます。具体的なポイントは以下の4点です。①まず論文の構成要素を理解できるようになることが重要です。論文のどの部分が上記論文要素のどれに該当するのか仕分けし、各要素の内容を上記説明に従い分析・確認する練習を行いましょう。先に述べたとおり、日本学生科学賞受賞論文には、各要素に正確に分けられていなかったり、構成に混乱があったり、一部が欠けていたりしているものもあるので、そのことも分かるようになりましょう。②つぎに、提起された問い(疑問)と実験・調査法、結果と結果から導かれる結論との間にある厳密な論理的関係を理解することが重要です。各実験・調査がどのような問い(疑問)を解決するために行われたのか、実験・調査はその問いに答えるために適切に計画・実施されているか、実験・調査結果から導かれる結論は論理的に正しいか、あいまいな推論や思い込みがまじっていないか、その結論は最初に提起した問いの答えとなっているか、などを検討します。この時、仮に実験・調査結果が別のものになった場合には結論はどのように変化するのか、疑問に答えるためにもっと別の実験・調査はないか、などを考えることも重要です。③第3に、研究の新規性と結果・結論の意義に対する理解と検討が重要です。著者は研究の新規性をどのように主張しているか、研究の結果・結論の新規性の意義をどのように主張しているか、その主張が適切かあるいは別の考え方も成り立つのかを検討します。また、この研究をさらに発展させるためにはどのような新規性のある問いあるいは研究が考えられるかをみんなで議論すれば理解が深まります。④最後に、研究方法のレベルと研究に必要な労力を検討します。研究方法のレベルは、中学から高校3年生までの理科教科書やこれまでの生徒理科研究の範囲にあるか、あるいは高校レベルを大きく超える特殊なものかを検討します。研究に必要な労力は、その研究を行うのにどれだけの人数と時間が必要とされるかを検討します。そして、自分たちでもそのつもりで取り組めば同様の研究が可能か否か、どのようにしたら同等の研究をすることができるかについてみんなで議論しましょう。

論文講読から得られる知識や思考能力は、研究課題を考えたり、研究計画を立てたり、実験をしたり、実験結果を解釈したり、論文を書いたりするときに役立ちます。理科研究法や科学的思考法を一般論として説明するだけでは、理科研究経験のない生徒にはほとんど理解できません。具体的事例を用いた論文講読演習により、はじめて知識や能力は身に付きます。ここで重要なことはレベルの高い生徒理科研究論文を読むことです。レベルの低い論文では効果はありません。その意味で日本学生科学賞の受賞論文は適切です。部活であれば毎月一編の論文を読む、探究活動の授業であれば少なくとも数編の論文を読むことをすすめます。効果的な少人数教育のためには大学院学生等の教育補助者の役割も期待されます。

2.生徒理科研究には新規性が求められる

研究には新規性が必要です。新規性のない研究は論文発表することができません。なぜなら、論文は研究成果の社会的公表により既知情報に新規情報をつけ加え、科学を発展させるためのものだからです。したがって、論文発表をめざす研究では、研究の当初から新規な結果をもとめて取り組むことが必要です。すなわち、研究課題を選定したり研究計画を策定したりするときから、新規な結果を得る見通しを検討し、得られるようにすすめなければなりません。ここがいわゆる探究活動との大きな違いです。探究活動は、日常生活の中で疑問に思ったこと、あるいは教科書学習の中で興味や疑問を持ったことを情報収集したり実験したりして詳しく調べてみよう、あるいは自分で実際に確かめてみようというもので、新規性を問うことがないからです。したがって、論文発表をめざす研究を行うには、新規性とは何か、新規な結果とはどのようなものをいうのかという、新規性に関する考察が必須です。ここでは、生徒理科研究に求められる新規性について生徒の理科研究所の考え方を詳細に明らかにします。

新規性とは既知情報に対する新規性です。大学以上のレベルの一般研究においては、論文発表には全世界的・全歴史的視野での既知情報に対する新規性が暗黙の前提として求められます。しかし、生徒理科研究の場合には、全世界的・全歴史的レベルの新規性は求められません。また、一律の基準もありません。しかし、最低限のレベルとして、「日本語で行われる高校・中学・小学の理科教育とこれまでの生徒理科研究を超える新規性」が必要です。また、「その他の既知情報を参照する場合は、その参照情報を超える新規性」も必要です。そして、「論文にはどのような範囲で調べたところ新規なのかを「はじめに」とその他必要な個所で明確に述べる」ことが求められます。この条件は、生徒理科研究の特殊性を踏まえた工夫です(*1)。

*1 ここで述べる新規性は生徒の理科研究所の提唱する生徒理科研究に必要な新規性で、「生徒の理科」誌https://seitonorika.jp/ への論文投稿に必要とされます。

図2 生徒理科研究に必要な新規性と発表条件

「高校・中学・小学の理科教育を超える」とは、高校・中学・小学の理科教科書(小学5年生から高校3年生までの全理科教科書)と標準的な参考書に書かれていない内容であること、あるいは、教科書等に書かれている法則等について教科書等に書かれているもの以外の証拠・適用範囲・具体例を新たに示すことを指します。自ら使っている教科書だけでなく、所属学科・コースの違いに関係なく小学5年生から高校3年生までの全理科教科書をチェックします。標準的な参考書とは高校の授業補助教材としてよく用いられる「~図録」、「図説~」、「~総合資料」などです。

「これまでの生徒理科研究を超える」とは、これまでに発表された生徒理科研究論文にはない内容であることです。ここで、これまでに発表された生徒理科研究論文の記録として、「生徒の理科」誌(*2)および日本学生科学賞受賞論文(読売新聞社*3)と理科研究論文集(静岡県理科教育協議会*4)、科学の芽賞受賞論文(筑波大学*5)をチェック・参照必須情報とします(*6)。すなわち、「これまでの生徒理科研究を超える」とは、上記チェック・参照必須情報にある生徒理科研究論文には書かれていない内容であること、あるいは論文に書かれている法則等について論文には書かれていない証拠・適用範囲・具体例を新たに示すことを指します。

*2 「生徒の理科」誌https://seitonorika.jp/
*3日本学生科学賞受賞論文(読売新聞社) https://event.yomiuri.co.jp/jssa/ 受賞論文のpdfファイルが「理科自由研究データベース」(御茶ノ水女子大学)http://sec-db.cf.ocha.ac.jp/ でweb公開されています。
*4理科研究論文集(静岡県理科教育協議会)https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/ronnbunshu/top.htm
*5 科学の芽賞受賞論文(筑波大学)http://www.tsukuba.ac.jp/community/kagakunome/shyo_list.html
*5-2 算数・数学の自由研究受賞論文(理数教育研究所)
https://www.rimse.or.jp/research/past/winner8th.html

*6 チェック・参照必須情報は、①信頼性の担保、②無料web公開、③2ページ以上の情報量を条件に選びました。先にあげた4つのうち、後者3つは残念ながら査読有り論文誌ではありませんがどれも審査を経た受賞論文集であり、長文概要(論文)が無料web公開されているのでチェック・参照必須情報とします。これまでの生徒理科研究の長文概要・論文としては、この他に全国高等学校総合文化祭自然科学部門論文集(会場配布)と、つくばScience Edge 要旨集(会場配布)、および「未来の科学者との対話」(神奈川大学)があります。しかし、これらは現在のところ無料web公開されていない、あるいは審査を経た論文ではないという理由でチェック・参照必須情報とはしません。各自が必要に応じて利用することとします。また、1ページ以内の研究発表会要旨はその短さのため参照すべき記録とはしません。ここに挙げたもののほかにチェック・参照必須情報とすべき論文誌等があれば生徒の理科研究所にご連絡ください、検討します。

さらに、「その他の既知情報を参照する場合は、その参照情報を超える新規性」が必要です。すなわち、参照情報に書かれていない内容であること、あるいは参照情報に書かれているもの以外の証拠・適用範囲・具体例を新たに示すことが必要です。

「その他の既知情報」としては、理科教育関係団体・学会の論文誌(*7)、大学レベルの教科書・専門書、自然科学諸分野の入門書・専門書・論文誌、その他一般web情報等があります。これらは研究課題の立案や研究計画の作成に有用な情報です。しかし、これらは生徒理科研究論文ではない、日本語で書かれていない、または、無料web公開されていないという理由で、生徒理科研究のチェック・参照必須情報とはしません。各自が必要に応じて利用する「その他の既知情報」とします。なお、大学教員等(研究者)に口頭で教えてもらう時には必ず関係文献を紹介してもらい、その文献を参照情報とします。

*7 生徒の理科研究所ホームページ https://seitonorika.jp 「関連情報」参照

また、物理チャレンジ・オリンピック、化学オリンピック、生物学オリンピック、地学オリンピックのための推薦書籍(*8)もチェック・参照必須情報とはしません。高校より高いレベルの教科書情報にもとづいて研究したいと望む生徒が必要に応じて利用する「その他の既知情報」とします。これら推薦著書は、大学1~2年生レベルの教科書です。高校教科書に書かれている内容がより詳しく丁寧に説明されている場合が多くあります。

*8 生徒の理科研究所ホームページ https://seitonorika.jp 「関連情報」参照

論文発表等における研究の新規性の説明においては、「はじめに」で、高校・中学・小学の理科教科書等とチェック・参照必須情報を調べ、自らの研究に関係する情報は必ず引用しながら、まずこれまでに何が分っていて何が分かっていないのかを明らかにし、つづいて、それら引用情報と区別しながら自らの研究の新規性、すなわち、新しく何を明らかにしようとするのかを説明します。また、チェック・参照必須情報ではない「その他の既知情報」を研究に参照・利用する場合にはその情報(論文・書籍等)を引用するとともに、その引用情報と区別しながら自らの研究の新規性をのべます。結果的に、どんな場合にも自らの研究には引用情報を超える新規性が必要です。さらに、「はじめに」とその他必要な個所で「どのような範囲で調べたところ新規なのか」を明確に述べます。

生徒理科研究のレベルで、全世界的・全歴史的な視野での既知情報に対する新規性を求めることは非現実的です。多くの専門論文誌は無料web公開されておらず、学会に入会したり、購読料を支払ったりしなければ見られません。未だに電子ファイル化されていない文献もたくさんあります。しかもこれら論文の多くは英語その他の外国語で書かれています。これらの文献は、科学文献データベース(ほとんどのものが有料*9)で検索したり、各分野の総説や関係論文に当たったりすることにより、はじめてその存在がわかります。その調べ方は大学で学びますが、一般的にはその分野の研究者(大学教員)でなければわかりません。また、世界的レベルでは研究の発展が急速なため、研究開始時に新規性があっても結果の発表時に新規性があるとは限りません。たとえばショウジョウバエ研究ではアメリカで行われる学会で毎年約1000件の論文が発表されます。生徒理科研究のレベルでは自分達の知らない大きな世界があることを自覚しているだけでよいでしょう。

*9 科学文献データベース 生物学(Biological Abstracts、英語)、化学(Chemical Abstracts Service、英語)、医学・生命科学(PubMed、無料・英語)、物理学、地学、数学、日本で発行される科学技術情報(J-STAGE、日本語・英語)、日本農林水産業(AgriKnowledge、日本語)

大学ではまず専門分野について高校までとは比較にならない体系的で深い知識を学びます。最新のさまざまな実験・調査方法やデータ処理法を学びます。また、教養としてさまざまな社会の現状やしくみについて学びます。その結果、みなさんの視野は格段に広がり、科学の世界にも、技術の世界にも、また、社会的にも多くの解明すべき疑問・課題や、実現すべき夢があることを知るでしょう。その上で研究室に所属し、特定分野の専門研究に従事します。生徒の皆さんはそのときにこそ全世界的・全歴史的視野に立った先端研究に取り組むことになります。楽しみにしていましょう。

生徒研究発表会で見られる現在の生徒理科研究の共通した弱点の一つが、新規性のあいまいさです。発表会が探究活動の報告会ではなく、研究発表会あるいは論文発表会であるためには、研究の新規性に関する明瞭な説明が必要です。そして、研究の新規性の説明責任は第一に発表者(研究を行ったもの)自身にあります。研究計画策定の段階から研究の新規性を明確にして研究を行い、研究発表会等ではどのような範囲で調べたところ新規なのかを明瞭に記述・述べるようにしましょう。なお、(大学以上の)一般研究論文では「どの範囲で調べたところ新規である」などと書いたものはほとんどありません。しかし、誤解してはいけません。一般研究では全世界的・全歴史的な新規性が当然の前提とされているからです。「全世界的・全歴史的」な新規性がない場合やその確認ができない場合は必ず「どの範囲での新規性なのか」を述べなければなりません。

生徒理科研究の新規性の判断基準となる既知情報の範囲を上記のように明確に規定することにより、研究開始時に必要な情報収集の範囲が生徒・教師の手の届く範囲となります。その結果、既知情報の大海に溺れることなく、研究課題の新規性を生徒・教師自らが判断できるようになり、既知情報と比較しながら、自分なりの独自の視点や方法をもちいた研究課題を工夫する余裕が生じます。この余裕は創造性ある研究課題の設定に重要なものです。

また、生徒理科研究論文に新規性とこれまでの生徒理科研究論文の引用とを求めることにより、生徒理科研究は論文の積み重ねにより次第に発展するものとなります。すなわち研究史が生じます。その結果、各論文には生徒理科研究の発展にどのような点で貢献したのかという研究史における位置づけと評価が生じます。こうして、一般の科学研究が全世界的・全歴史的視野での科学研究の発展をめざすのと同様に、高校・中学生徒の理科研究は生徒理科研究の発展をめざすものとなります。

3.研究倫理の遵守

「研究」が社会的に研究として認められるためには、研究倫理に従うことが不可欠です。研究倫理に反する「研究」は成果を研究発表会で発表することも論文として発表・出版することもできません。以下の条件を満たす必要があります。

①研究倫理、「科学の健全な発展のために―誠実な科学者の心得―」(*1)を遵守していること。また、「中等教育における研究倫理:基礎編」(*2)を参考にしてください。

*1 日本学術振興会
https://www.jsps.go.jp/j-kousei/rinri.html 研究公正ページ参照
*2(一財)公正研究推進協会
https://www.aprin.or.jp/e-learning/rse/rse_p0 参照。ただし、「中等教育における研究倫理:基礎編」は、引用必須文献に関する考え方が「論文発表をめざす生徒理科研究法 第2章 研究には新規性が必要である」とは異なるので注意が必要です

②遺伝子組み換え実験、動物実験、あるいは人を対象とする研究を含む場合は、遺伝子伝子組換え生物等規制法(*3)、動物実験等の実施に関するガイドライン(*4)、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(*5)、個人情報保護法(*6)を遵守していること。なお、これら指針による研究計画の申請、あるいは、実施許可の取得は研究実施前に行う必要があります。指導教師が申請します。

*3 文部科学省研究振興局ライフサイエンス課生命倫理・安全対策室「高等学校などで遺伝子組み換え実験を行う皆様へ」https://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/9_12.pdf
*4 日本学術会議「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-k16-2.pdf
*5 文部科学省ライフサイエンスの広場 人を対象とする医学系研究https://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/ekigaku.html
*6 個人情報保護委員会法令・ガイドライン等https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/

③著者または著者の所属組織が営利企業等から援助・便宜を受けた場合(利益相反)、そのことによって研究の客観性・公正性がゆがめられないこと。

④発表論文には、第3者の権利を不当に侵害する、または、財産に不当に損害をあたえる情報、または、その可能性がある情報を含まない。また、生徒理科研究論文としての発表・出版にはふさわしくない内容を含まないこと。

4.投稿論文の作成法

①論文は本文と図・表に分けて作成します。本文は、Word(マイクロソフト)または相当ワープロソフトを用いて作成します。論文原稿用紙はA4判とし、段組みは1段、字の大きさは12ポイントとします。図・表については次節に記します。

②論文本文の文体は、「である」調とし、常用漢字、現代仮名使いで書きます。学術用語は教科書や文部科学省学術用語集等に従います。

④論文本文原稿の1ページ目に、表題、全著者名、生徒/その他の別、所属先、所属先住所、責任著者名、責任著者のメールアドレス、責任著者の電話番号、責任著者の現在の勤務先名、責任著者の現在の勤務先住所を書きます。

図3 投稿論文の構成 A:実験・調査が1個の場合。B:実験・調査が複数の場合。

③論文本文は、「表題」、「著者名・生徒/その他の別・所属先・所属先住所」、「責任著者」、「要旨」と「分野・追加キーワード」、「はじめに」、「材料と方法」、「結果」、「考察」、「謝辞」、「役割分担」、「利益相反」、「引用文献」、「(英文)表題・著者名・要旨」、「図の説明」の順で書きます。短い論文の場合は結果と考察をいっしょにして「結果と考察」としても結構です。

⑤「表題」は簡潔で論文の内容と結論が読者に伝わるものにします。人目を引くだけで情報量の少ないものは避けます。特定の生物を研究材料とした場合は、「表題」にその学名(属名 種名)を斜字で入れます。(例)カイコ(Bombyx mori)。

⑥「著者名」は実際に研究を行った生徒と研究指導者(学校教員または塾講師等)の名前とします。著者名は研究への貢献度の高い者から順番に並べます。最後の著者名は責任著者とします。「生徒/その他の別」は高校・中学生徒の場合は著者名の後に「∗」印を付けます。「所属先」は、その研究が行われた学校または塾等の名称とします。ただし、所属学校以外の機関(塾等)で研究を行った場合の生徒の所属先は、その機関の名称と所属学校の名称との両方とします。

⑦「責任著者」は、日常的に研究を指導し、論文内容に責任を持つことのできる研究指導者(学校教師または塾講師等)で、論文誌編集部との連絡、出版料の支払いなど論文出版にかかわる一切の実務に責任を負う者とします。責任著者名・メールアドレス・現在の所属先を書きます。メールアドレスは仕事(研究)用のコンピュータメールのものを書き、私的なものや携帯メールは書きません。現在、所属がない場合は責任著者名・メールアドレスを書きます。

⑧論文本文原稿の2ページ目には、要旨・分野・追加キーワードを書き、つづけて以降の本文を書きます。

⑨「要旨」は、研究目的と結果・結論を中心に論文を400字以内にまとめた文章です。論文検索でかかるように情報量の多い文章とします。「分野」は、関係する高校理科系科目名の1つを、生物、化学、物理、地学、数学、農業、生活、工業、その他の中から選んで書きます。「キーワード」には論文検索向けに論文内容を適切に表す重要語句を4個以内書きます。

⑩「はじめに」には研究理由と、研究目的と、結果・結論のまとめと、新規性のレベルを書きます。

研究理由」としては、まず論文の導入文を短く書きます。いきなり課題を提起したり、対象とする現象について模式図を使って紹介したりします。つぎに、先行研究と関連情報にもとづき研究課題についてこれまでに何がわかっており、何が分っていないのかを書きます。先行研究と関連情報は、引用元(著作者と発表年)を明らかにしながら書きます。「何が分かっていないのか」は、次に述べる「研究目的」の新規性と意義が分かるような内容になっていなければなりません。個人的な思いや関心などいわゆる個人的動機は書きません。

研究目的」としては、実験・調査方法の概略と研究目的(問い)、すなわち、この研究ではどんな方法で何を新しく明らかにするのかを書きます。ただし、複数の実験・調査を行った場合は記述を簡略化し、研究目的概要を書くこともできます。「結果・結論のまとめ」としては、主要な結果と何を明らかにしたのかを簡潔に書きます。なお、研究目的は研究の応用目的のことではありません。また、「はじめに」には「問い」を書きます。「仮説」は書きません。

新規性のレベル」としては、どのような範囲を調べたところ新規なのかを簡潔に説明し、生徒理科研究に必要な新規性レベルを超えていることを述べます。

⑪「材料と方法」には、実験材料(現象)・実験系(調査地)、実験・調査の流れ、実験装置、薬品、実験処理手順、データのとり方、統計処理・仮設検定法等を書きます。研究対象、材料、重要な薬品と装置などは特別の事情がある場合を除き、一般的名称だけではなく製品名、型番、製造会社名も書き、同分野の研究者なら追試ができるように書きます。実験・調査計画の説明に必要な場合は、模式図や作業流れ図を書くこともあります。また、一般(読者)によく知られていない実験・測定方法はその原理を模式図と文章で説明します。模式図や流れ図等は本稿の「5.図・表の作成法」にもとづいて作成します。複数の実験・調査・計算を行った場合でも主要な方法はすべてこの節にまとめて書きます。

遺伝子組み換え実験、動物実験、あるいは人を対象とする研究を含む場合は、遺伝子組換え生物等規制法、動物実験等の実施に関するガイドライン、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針、個人情報保護法を遵守していることを記します。

独自の材料・現象の提案や実験装置の作製を目的とする研究の場合には、その材料・現象の詳細な説明や実験装置の作製過程の詳しい説明(写真・模式図・設計図を含む)はこのページではなく、結果ページに書きます。

⑫「結果」には、実験・調査・理論計算の結果と結論を書きます。また、その他のことで新規に分かったことを書くことができます。

結果」としては、実験・調査・理論計算により得た結果を、写真、表、グラフと文章で表します。まず、論文発表時に必要となる写真、表、グラフ等をすべて作成します。グラフ・表・写真・模式図は、本稿の「6.図・表の作成法」にもとづいて作成します。グラフと表はExcel(マイクロソフト)を用いて作ります。模式図はPowerPointを用いて作ります。写真(Jpegファイル)はPhotoshop(Adobe)(または無料画像処理ソフトGIMP)をもちいて必要な部分だけを切り抜いて用います。最後にこれらグラフ、表、模式図、写真をPowerPointに貼り付け、矢印や記号をつけて図とします。

結果の説明では、再現性を十分に確認し、その旨を例数を含めて論文に記載します。数値データは適切な統計的仮説検定を行い、その結果を論文に記載します。量的データの特徴を記述するときは、例えば単に「大きい」というようなあいまいな(主観的な)表現は避け、「~に比べて大きい」と比較基準を明確にしながら述べます。実験区と対照区とを比較しながら記述することにより、結果が何を意味しているのかを明らかにしながら書きます。また、一般的な方法に重要な変更を加えて独自の方法を確立した場合は、そのことを結果の中にも書き込みます。

結論」としては、結果から論理的に導かれる「結論」を書きます。このとき「結論」は、研究目的の「問い(疑問)」に対する「答え」となっていなければなりません。因果関係を実証(証明)する論理、因果関係を推測する(新しい仮説を定立する)論理、既知の因果関係(仮説)を支持する(矛盾しないことを示す)論理の違いに注意して適切な表現で書きます。ネガティブデータや「有意差なし」の解釈では、「~とはならなかった」と「~ではない(ことが分かった)」との違いに注意します。確信の程度があいまいな「考えられる」はできるだけ用いません。「~である」「~を示した・~を証明した」「たぶん~だろう」「~を示唆する」「~の可能性がある」「~かもしれない」「~を支持する・~と一致する」「~と矛盾しない」「~を否定する・~は否定される・~と矛盾する」「~の可能性は低い」など、確信の程度の明瞭な表現で書きます。

前述のように、独自の材料・現象の提案や実験装置の製作を目的とする研究の場合には、その材料・現象の詳細な説明や実験装置の作製過程の詳しい説明(写真・模式図・設計図を含む)はこの「結果」に書きます。また、物理等で一定の理論計算を行い実験結果による検証を行ったときは、理論計算や検証結果はこの結果ページに書きます。

複数の異なる実験・調査を行ったときは、「結果」の下に各実験・調査のための節を作成し、実験・調査毎に結果・結論を書きます。各節では、導入文として、まず、その実験・調査の研究目的(問い)と実験調査(材料と方法)の概略を短く述べ、つづけて結果と結論を書きます。これを実験・調査の数だけ繰り返します。

⑬「考察」には、「結果・結論のまとめ」と「新規性の学問的意義」について書きます。

結果・結論のまとめ」では、研究で明らかにした結果・結論を短くまとめます。このとき、「結論」は「はじめに」で提起した問いに対する結果にもとづく回答となっていなければなりません。

新規性の学問的意義」では、まず、結果・結論のどの点に新規性があるのかを先行研究や関連情報を引用しながら説明します。つづいて、その学問的意義、すなわちその結果・結論から導かれる(推測される)新しい考え方等について、先行研究や関連情報を引用しながら議論します(著者の考えを書きます)。この時、新規のアイディア(仮説)等を模式図を示しながら説明することもできます。また、社会的意義があればそれも書くことができます。さらに、研究の過程で明らかになったその他の新規事項についても、その新規性を説明し、その学問的意義や社会的意義を書くことができます。「今後の計画」は書きません。しかし、将来の期待される研究方向については書くことができます。

考えを述べるときは、確信の程度があいまいな「考えられる」はできるだけ用いません。「~である」「~を示した・~を証明した」「たぶん~だろう」「~を示唆する」「~の可能性がある」「~かもしれない」「~を支持する・~と一致する」「~を否定できない・~と矛盾しない」「~を否定する・~は否定される・~と矛盾する」「~の可能性は低い」など、確信の程度の明瞭な表現で書きます。

複数の実験・調査を含む場合は、まず、実験・調査全体で何を明らかにしたのかを書き、つづいて各実験・調査で明らかになった「結果・結論」を短く列記します。考察は、「結果・結論」の新規性について説明し、その学問的意義や社会的意義を書きます。

⑭「謝辞」には、研究の遂行や論文作成で協力を受けた人に対する謝辞を書きます。たとえば、研究材料の提供、実験器具の貸与、研究場所の提供、助言、情報提供、論文のチェックなどです。「研究費補助金」には、研究経費や論文出版料の支援を受けた場合はその名称を書きます。支援を受けていない場合は「研究費補助金はなし」と書きます。

⑮「役割分担」には、各著者について、「名前:役割」を書きます。役割は「研究企画」・「材料準備」・「実験実施」・「技術指導」・「データ処理」・「図表作成」・「論文作成」など簡潔な言葉で書きます。

⑯「利益相反」には、この研究課題に関して著者または著者の所属組織が営利企業または営利追求団体や個人からうけた援助・便宜について書きます。企業・団体・個人名とうけた援助・便宜の内容を簡潔に書きます。ない場合は「利益相反はなし」と書きます。

⑰論文は、一般的に明らかなことや先行研究等で明らかにされていることはすべて引用元を明らかにしながら書きます。著者がこの研究で明らかにしたことあるいはあらたに提起した考え方以外の内容はすべて引用元を明らかにしなければなりません。あいまいな伝聞や引用元の不明なことがらについては科学情報としては引用できません。 「出典(引用元)」は本文中に「著者名(発表年)」を記入することにより示します。ただし、著者が3名以上の場合の著者名は「第1著者名ほか」とします。著者名は姓だけを書きます。

(本文中での引用のし方)
(2名の時)――――この変化は常温では起こらない(村辻・村辻,2018)。
(3名以上の時)――――村辻ほか(2010)はこの現象を――――――

⑱インターネット上のホームページは重要な情報源です。しかし、そこから得られる情報の取り扱いには注意が必要です。インターネット上にある情報は基本的には原文献にまでさかのぼり、正式の引用を行います。査読のない紙誌に発表された報告や論文は、その信頼性には注意が必要ですが著者が重要と認めるなら引用できます。一方、著者や責任者が特定できないインターネットや紙誌の情報は信頼できる科学情報とみなすことはできません。根拠データの示されないブログ・ツイッター等の記事やホームページ情報は根拠ある科学情報としては引用できません。しかし、あいまいなインターネット情報や根拠の示されない情報を対象としてその傾向や真否を研究・調査することはできます。

⑲「引用文献」には、本文中に引用したすべての文献の文献情報を書きます。本文中に引用しなかった文献は書きません。ローマ字で表した時のABC順でリストします。文献情報の書き方は引用文献の種類により異なります。論文誌に掲載された論文の場合は、全著者名、発行年、論文の表題、掲載論文誌名、巻(号)、ページを書きます。単行本の場合は、著者名、発行年、本の表題、出版社名を書きます。編集(監修)本に掲載された論文の場合は、論文著者名、発行年、論文(章)の表題、本の表題、編集(監修)者名、出版社名、論文ページを書きます。教科書や参考書は単行本と同様に書きます。ただし、教科書は著者名の最後に出版社名も入れます。web論文誌やweb書籍の場合は、一般の論文誌や書籍と同様に書き、最後にDOI(デジタルオブジェクト識別子)(ある場合のみ)を書きます。論文コンテスト受賞論文の場合は、著者名、コンテスト実施年、論文の表題、コンテスト名、受賞名を書きます。一般のwebページの記事の場合は、記事著者名(ページ責任者・団体名)、(発行年または最終更新日)、記事表題(またはページ表題)、サイト名(~ホームページ)、ページアドレス(http://)、アクセス日時(yy/mm/dd)を書きます。具体的な書き方は、下の例や「見本論文」を参考にしてください。なお、単なる投稿サイトのweb記事や、記事著者名(ページ責任者・団体名)とサイト責任者名(団体・会社名)のないweb記事は引用することはできません。どんな引用の場合も、著者名には全員の氏名を書きます。

(「引用文献」での書き方)
論文誌に掲載された論文の場合  村辻理男・村辻秀雄(2018): あたらしい細胞観察法、生徒理科研究 4(2):16-31.
単行本の場合  村辻理男(2018): あたらしい細胞観察法,生徒の理科出版.
編集本に掲載された論文の場合  村辻理男(2016): あたらしい細胞観察法、これからの生徒理科研究、村辻理科子(編)、生徒の理科出版、56-85.
論文コンテストの受賞論文  村辻理男(2017): 新しい細胞観察法、第3回学生理科研究コンテ、優秀賞.
一般のwebページの場合  生徒の理科研究所(2016): 「生徒の理科」とは、生徒の理科研究所ホームページ、https://seitonorika.jp/journaltop/2018/07/26.

⑳「(英文)表題・著者名・要旨」は、表題・著者名・要旨の英訳です。英文に不安のある方は有料の科学論文校閲をご利用ください。

㉑「図の説明」は、図の下につける表題と説明です。図1、図2というように図に通し番号をつけ、表題と説明文を書きます。組図の場合は、さらに各図を図1A、図1B、図1Cというように分けます。さらに図が多い場合は、図1A1、図1A2、図1A3というように分けることもあります。図に入れた矢印や記号の説明は図番号と表題に続けて書きます。表の説明は、一般に表の一部として表の下に書き入れます。しかし、説明が長くなる場合は、説明部分は表とは別に「図の説明」の最後に「表の説明」として書きます。

5.図・表の作成法

①「図・表」は、各図・表について出版論文に載せる時の大きさで作成します。図には(写真やグラフ、模式図、数式)を含みます。出版論文の用紙サイズはA4版、段組みは2段となるので、この段幅、ページ幅を考慮しながら図・表の大きさを決めます。

②図・表の合計数は、7個以下とします。図・表の数が多い時は複数のものを1つの組図にまとめ、合計数を7個以下とします。図と表を合わせて1つの組図とすることもできます。

③図・表には図番号を付けます。図番号は、図1、図2、図3、、、というように付けます。組図の場合は、さらに各図を図1A、図1B、図1Cというように分けます。さらに図が多い場合は、図1Aを図1A1、図1A2、図1A3というように分けることもあります。各図(図1、図2、、、、)の表題と説明文は、論文本文の最後の「図の説明」欄に書きます。

表も図と同じように表1、表2、、、というように番号を貼り付けます。ただし各表の表題と説明は表の上下に書き込みます。表題は表の上に書き、説明は表の下に書きます。

④グラフの作成にはExel(マイクロソフト)、写真の処理はPhotoshop(Adove)(または無料画像処理ソフトGIMP*8)、模式図の作成はPowerPoint(マイクロソフト)、表の作成はExelを用いると便利です。すべて出版論文に載せる時の大きさで作成します。写真の場合は必要の部分だけをPhotoshop(またはGIMP)で切り抜いて使います。こうして作成した原図をPowerPointの「デザイン・ページ設定・スライドサイズA4・スライド縦(19cmx27.5cm)」のページにはりつけ、複数の図を組み合わせたり、図の大きさを変更したり、矢印や記号を入れたりして最終的な図を完成します。 各図・表はべつべつのPowerPointページに作成します。図・表に入れる字・線の大きさと太さは、論文印刷時の大きさ・太さを考えて決めます。

*8 画像処理ソフトの操作手順はPhotoshopの方法で説明します。GIMPを用いるときは同等の処理をGIMP操作法に従って行います。GIMPのダウンロードと操作法はインターネットで調べます。

⑤最後にPowerPointファイルから解像度330dpiのJPEGファイルを作成します。PowerPointで保存すべきスライドを出し、「ファイル」「名前を付けて保存」を選択します。保存場所を指定した後、出てきた画面で「ファイルの種類」を「JPEGファイル交換形式(*.jpg)」とし、同画面下段の「ツール∇」をクリックし「画像の圧縮」を選択します。出てきた画面で「HD(330dpi):高解像度(HD)表示用」をチェックし「OK」をクリックします。元に戻るので「ファイル名」を入れて「保存」をクリックします。出てきた画面で「このスライドのみ」をクリックするとJPEGファイルが保存されます。このJPEGファイルをPhotoshop(またはGIMP)で開き、必要な部分だけを切り抜き、新ファイルとしてJPEGで保存します。これで330dpiの投稿用のJPEG図ファイルが完成します。なお、投稿用JPEG図ファイルにはファイルサイズ3MB以下という制限があります。3MBを超える場合はPhotoshop(またはGIMP)でサイズを小さくします。

(この文章は、「論文発表をめざす生徒理科研究法 第1章~第6章」をもとに作成しました。)2020年8月20日。Ver2. 2020年8月30日。Ver3. 2020年10月8日。
Ver4.2020年11月1日。