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2021-2h(シニア論文)市販レタス種子(Lactuca sativa L.)は光発芽種子ではない

Seitonorika 2021-2, 2021年11月9日掲載, Pdfダウンロード

辻村秀信
生徒の理科研究所 〒623-0342 京都府綾部市金河内町奥地22番地,tsujmr@seitonorika.jp

要旨: 市販レタス種子(Lactuca sativa L.)の発芽様式に及ぼす温度の影響を調べた。その結果、①グランドラピット品種の種子は典型的な光発芽種子ではなく、温度により発芽様式を変える種子であることが分かった。すなわち、②生育適温を含む23℃以下では明暗両条件下で発芽する非光感受性種子の性質を示した。③生育適温を超える中高温では暗条件における発芽率が低下し、28℃~30℃では明条件でのみ発芽する光発芽種子の性質を示した。④高温の33℃以上では明条件における発芽率も低下し、ほとんどの種子が非発芽種子の性質を示した。⑤この結果を同品種の自家採種種子の既報データと比較した結果、両者は同様の発芽様式変化を示すことが分かった。⑥他の6品種を調べた結果、すべてが生育適温の20℃では光発芽せず、非光感受性発芽をした。市販種子は生徒による発芽研究のよい研究材料となるだろう。
類別:シニア論文、分野:生物、キーワード:市販種子、温度、光発芽、レタス


はじめに

植物の種子発芽は種子中の胚が種皮を破って外部へ脱出し、芽生えの確立をめざして幼根や胚軸を伸ばす成長の最初のステップである(テイツほか, 2017)。

種子が発芽するには、水、酸素(空気)、温度(生育適温)の3条件(発芽の3要素)が共通して必要である(石浦・鎌田ほか, 2021; 毛利・大島ほか, 2021; 村松・石田, 2021; 霜田・森本ほか, 2021; 養老・角屋ほか, 2021; 嶋田ほか, 2017; 平沢・大杉, 2016; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017)。しかし、種子によってはこれら3条件がそろっても発芽しない場合があり、この状態を休眠という(平沢・大杉, 2016; 嶋田ほか, 2017; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。休眠中の種子が発芽を開始(休眠解除または休眠打破)するには、発芽の3要素の他に別の条件が必要であり、この条件には光・温度体験・成熟後の時間・物理化学的損傷・阻害物質の除去・化学物質などがある(嶋田ほか, 2017; 平沢・大杉, 2016; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。発芽温度・休眠中か否か・休眠解除に必要な条件は種子の種類と状態に固有のもので、これをここでは発芽様式とよぶ。

種子発芽に必要な光条件は植物により異なる。発芽におよぼす光の影響の違いで種子は3タイプに分けられる(平沢・大杉, 2016; 日本種苗協会, 2017, 2018)。光の影響を受けない非光感受性(中間性)種子、光で発芽が促進される光発芽(好光性)種子、光で発芽が抑制される暗発芽(嫌光性)種子である。種子にはこの他に光条件にかかわらず発芽しない種子(非発芽種子と呼ぶ)が存在する(日本種苗協会, 2018)。

野菜の多くの種子は成熟後に自然に休眠に入り乾燥する(一次休眠)(テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。この時、種をまいても発芽しない。しかし乾燥状態で2~3カ月間すると休眠が解除され発芽するようになる。ところが休眠解除された種子が発芽に不利な状態におかれると再び休眠に入り発芽しなくなることがある(二次休眠)(テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。

レタス種子は発芽に光を必要とする代表的な光発芽(好光性)種子であり、光があるときのみ発芽するとされる(浅島ほか, 2017; 本川・谷本ほか, 2017; 嶋田ほか, 2017; 庄野・戸塚ほか, 2017; 吉利ほか, 2017; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。光の有効波長は赤色光(R)であり、遠赤色光(FR)はその効果を打ち消す。この好光性は固定的なものではなく、温度が高くなるほど強まる(日本種苗協会, 2018)。

上に述べたレタス種子のデータは研究者自身が栽培・採種した種子(以下、自家採種種子とよぶ)を用いた研究データである。しかし、一般の農業生産や家庭菜園では自家採種種子を用いることはほとんどない。多くの場合種苗会社が販売する種子を用いる。ところが種苗会社が販売用種子をどのように生産・処理・保存しているのかは一般には明らかではない。栽培の手間がかからない市販種子は生徒理科研究のためのよい研究材料となる可能性がある。そこで本研究では、市販レタス種子をもちいて温度変化に応じた発芽様式の違いをしらべて、自家採種種子のデータ(Suzukiほか, 1980; Suzuki, 1989)と比較し、市販種子の研究材料としての可能性を検討した。

その結果、市販種子・自家採種種子の違いによらず、レタス種子(Lactuca sativa L.; 品種:グランドラピット)は典型的な光発芽種子ではなく、温度により発芽様式を変える種子であることが分かった。すなわち、生育適温を含む23℃以下では非光感受性発芽を行い、生育適温を超える中高温の28℃~30℃でのみ光発芽した。他のレタス6品種を調べた結果、すべてが生育適温の20℃では光発芽せず、非光感受性発芽を行った。

本研究と同様の研究は2021年8月16日の時点で過去の生徒理科研究(生徒理科研究のためのチェック・引用必須情報  https://seitonorika.jp/journaltop/toko/)や、小学から高校までの理科教科書と主要参考書、本論文に引用した文献中にはない。市販種子は生徒理科研究のためのよい研究材料となるにちがいない。

材料と方法

この節は今後の生徒理科研究のために一般論文には不要な程に詳しく説明した。

種子とその保存方法
ほとんどの実験(結果の第1節から第4節まで)には市販レタス種子(Lactuca sativa L.; 品種:グランドラピット、商品名:リーフレタスグリーン、㈱サカタのタネ、有効期限2021年10月末日)を用いた。1個の種子袋を2020年12月に開封し、開封したまま室内(16℃から22℃)に保管して2021年1月初旬から5月初旬までの期間、実験に用いた。結果の第5節の実験には、グランドラピット(リーフレタスグリーン、㈱サカタのタネ)の他にレタス種子6品種を用いた。すなわち、グリーンウエーブ(リーフレタス、㈱タキイ種苗)、レッドウエーブ(サニーレタス、㈱サカタのタネ)、レッドファイヤー(リーフレタス、㈱タキイ種苗)、フリフリッカー(耐病大玉レタス、㈱サカタのタネ)、シスコ(レタス、㈱タキイ種苗)、チマサンチュ(かきレタス、㈱アタリヤ農園)である。これら品種は2021年10月に種子袋を開封し、ただちに実験に用いた。

温度調節
発芽実験における温度調節には低温恒温器(クールインキュベータCN-25C;三菱電機エンジニアリング)(図1A)を用いた。少なくとも実験開始3時間前に実験温度に設定したうえで実験に用いた。

明暗条件の設定
光照明装置として発熱の少ないLED電球(ナツメ球100V 0.2W;オーム電機)を電源コードにつないだナツメ球ソケット(プラソケットE12用 HS-
L12KPS/wオーム電機)にとりつけて用いた(図1B,C)。明条件は、LED電球の先端から実験シャーレを置く基板までの距離が7cmになる位置にLED電球を設置して連続光照射した場合とした(図1H)。暗条件は暗箱に実験シャーレを入れ外部からの光を遮断した場合とした(図1C)。

図1 発芽実験に使用する器具
A: 小型低温恒温器。B: 恒温器の内部。C: LED電球と暗箱の配置。 D: 暗箱。E: 薬さじ(左)・竹串(中)・ピンセット(右)。F: webカメラ。G:自作の 写真撮影装置 実態顕微鏡の鏡柱にLEDリングライト(太矢印)とwebカメラ(細矢印)をとりつける。H: LED電球の高さ。 LED電球の先端から基板までの距離は7cm。I: 暗箱の構造 菓子箱のフタ箱と下箱(茶太線)、黒色の画用紙(黒線)、箱表面(黒矢印)に黒マジックインクを塗る。

暗箱は適当な大きさの紙の菓子箱(貼り箱、かぶせ式、100x130x50mm)を加工して作成した(図1D)。レタス種子は微弱な光でも反応する(テイツほか, 2017)ので、光の透過・侵入を防ぐために下箱は黒色画用紙で内側を覆った(図1I)。フタ箱は外側を黒色画用紙で深く覆い、内側には黒色画用紙を張った。また、フタ箱と下箱の隙間を光が回り込まないように下箱の外側面とフタ箱の内側面は黒色マジックで黒色に塗った。さらに暗箱の下には黒色画用紙を敷いた(図1D,I)。

発芽実験の方法
発芽実験においては、シャーレにろ紙を2枚敷き、精製水をろ紙表面にひたひたになる量(1ml)だけ入れて前もって低温恒温器内に2時間以上置いた。実験開始時に再度水量を確認して必要なら追加し、ろ紙上に20粒のレタス種子を置き、シャーレのフタをして明条件あるいは暗条件で2日間または4日間、低温恒温器中に置いて吸水・発生させた。シャーレは身の外径46mm、身の高さ17mmのガラスシャーレである。ろ紙はNo.2ろ紙(㈱Advantec東洋)をシャーレの身の内径に合わせて円形に切ったものを用いた。精製水は高純度精製水紫外線殺菌処理(㈱サンエイ化学)を用いた。レタス種子は少量を種子袋から乾燥した小容器に薬さじで移して広げ、頭を水で濡らした竹串にくっつけてシャーレ中の水を含むろ紙上に移した(図1E)。乾燥状態の維持のため一度種子袋から出した種子は余っても種子袋に戻さなかった。実験中は水を入れたコップを庫内に置き、低温恒温器内の乾燥を防いだ。

結果の調査と写真撮影
吸水開始後2日間または4日間のシャーレからピンセット(K-3GG, KFI)(図1E)で(発芽)種子を取り出して黒画用紙上に並べ、発芽種子と不発芽種子を計数するとともに写真撮影を行い記録した。発芽は種皮からの幼根の露出により定義される。幼根の突起が明瞭でない場合は虫眼鏡を用いて発芽の有無を確認した。種皮を破って幼根が少しでも伸びているものを発芽種子とし、何も起こっていない種子を不発芽とした。種皮が破れるだけのもの、あるいは少し伸長するが種皮が破れていないものは不発芽とした。

写真撮影には実体顕微鏡の鏡柱にWebカメラとリングライトを取り付けた自作の撮影装置をもちいた(図1G)。Webカメラ(C615n, HD1080p, Logicool)(図1F)をコンピュータに接続し、撮影ソフト(「カメラ」,㈱マイクロソフト)とwebカメラ調整ソフト(WebCamSetting)を用いてピント、明るさ、コントラストを手動操作した。照明にはリングライト(6インチ LED RING LIGHT, ETSUMI)で昼光色を照射した(図1G)。

統計処理
実験結果の統計解析には、合計サンプル数が少なく(40個未満がある)、観察度数10個未満があるという理由からフィッシャーの正確確率検定の多重比較法を用いた(嶋田・阿部, 2017)。統計ソフトは無料ソフトのRを用いた。RはCRANサイトhttps://cran.ism.ac.jp/ からダウンロードした。実験データは、RVAideMemoireパッケージにあるフィッシャーの正確確率検定多重比較法のholm法、hochberg法、BH法(fdr) で解析した(Asset Management Consulting, ホームページ; 大阪大学腎臓内科, ホームページ)。ソフトの使用方法は嶋田・阿部(2017)および「高知の田舎で耕すデータサイエンス農家のブログ」(ホームページ)を参考にした。上記3つの方法で多重比較を行った結果、有意水準を0.05としたときに有意差ありと判定される場合がholm法とhochberg法では同じであったが、BH法(fdr)ではより多かった。そこで本論文では有意差の検出されやすいBH法(fdr)による多重比較をもとに結果を記述した。

図表の作成
撮影した写真は無料の画像処理ソフトGIMPを用いて整形した。表とグラフはExcel(㈱マイクロソフト)を用いて描いた。写真や表はすべてPowerpoint(㈱マイクロソフト)に張り付けて最終的な図表として仕上げた。


結果

1.生育適温における発芽様式

まず市販レタス種子が休眠しているか否か知るために、レタスの生育適温(15℃~20℃)(日本種苗協会, 2018)における発芽状況を調べた。休眠とは発芽の3要素である生育適温、水、空気(酸素)が与えられても発芽しない状態である(平沢・大杉, 2016; 嶋田ほか, 2017; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。レタス種子は休眠することがあり、その休眠は光により解除されることが知られている(Suzukiほか, 1980; Suzuki, 1989; 日本種苗協会, 2017, 2018)。すなわち、レタスの非休眠種子は生育適温下で明条件でも暗条件でも発芽するが、休眠種子は明条件では発芽するが暗条件では発芽しないはずである。そこで本研究では市販レタス種子(グランドラピット品種)を15℃と20℃において明条件あるいは暗条件下で水を含むろ紙上に置いて吸水させ、2日後に種子の発芽状況を調べた。その結果、15℃および20℃の両方の温度下で、明条件でも暗条件でもほとんどの種子が発芽した(発芽率0.93~1.00)(図 2A,B,C,D,E; 図6)。発芽種子数と不発芽種子数の統計解析の結果、15℃明、15℃暗、20℃明、20℃暗の条件下における発芽率に有意差はなかった(図2Ea,b,c,d)。以上の結果から市販レタス種子は休眠しておらず、生育適温下では明条件でも暗条件でもほとんどの種子が発芽する、すなわち、非光感受性種子の性質をもつことが分かった。なお、20℃において発芽した種子は15℃で発芽した種子より幼根と胚軸の伸長が大きかった(図2A,B,C,D)。

図2 生育適温における発芽様式 A:15℃明2日後。20個で発芽。B:15℃暗2日後。20個で発芽。C:20℃明2日後。19個で発芽。幼根は15℃より大きい。*:不発芽種子。D:20℃暗2日後。19個で発芽。幼根は15℃より大きい。*:不発芽種子。 E:生育適温における発芽率。有意差:その実験区と有意差のある他実験区を記号で示した。フィッシャーの正確確率検定を用いてholm法、hochberg法、BH法(fdr)による多重比較を行った。記号:各実験区に割り当てた記号。 有意水準:0.05。abcdのすべての実験区について他実験区との有意差はなかった。


2
.低温における発芽様式

次に、生育適温より低温における発芽様式を調べた。まず10℃ 2日後における発芽状況を生育適温である15℃のものと比較した。10℃では明暗両条件において多くの種子が発芽し(発芽率:明0.95、暗0.85)、15℃における発芽率との間に有意差はなかった(図3A,B; 図3Gc,d; 図6)。発芽種子の幼根の伸長は15℃と比べて著しく小さく、虫眼鏡でようやく確認できる程度であった(図3A,B)。幼根の小ささは低温による成長速度の遅さによる可能性がある。そこで、成長期間を延長し吸水開始4日後の発芽状況を調べた。その結果、明暗両条件ともすべての種子が発芽し(発芽率1.00),幼根は大きく成長した(図3C; 図3Gi,j)。したがって、10℃では明暗両条件下でほとんどの種子が発芽し発芽率に15℃との有意差はないこと、しかし発芽における幼根の成長速度は15℃より遅いことが明らかになった。

図3 低温における発芽様式
A: 10℃明2日後。19個で発芽したが幼根は15℃明暗より小さかった。*:不発芽種子。B: 10℃暗2日後。17個で発芽したが幼根は15℃明暗より小さかった。*:不発芽種子。C: 10℃暗4日後。すべての種子が発芽した。幼根がよく伸長した。D: 5℃明2日後。すべての種子が不発芽。E: 5℃暗2日後。すべての種子が不発芽。F: 5℃明4日後。19個で発芽したが幼根は小さかった。*:不発芽種子。G: 低温における発芽率。有意差:その実験区と有意差のある他実験区を記号で示した。フィッシャーの正確確率検定を用いてholm法、hochberg法、 BH法(fdr)による多重比較を行った。記号:各実験区に割り当てた記号。 有意水準:0.05。黒字はholm法、hochberg法、 BH法(fdr)のすべてで有意差が検出された他実験区を示す。赤字はBH法(fdr)でのみ有意差が検出された実験区を示す。

次に5℃ 2日後における発芽状況を調べた。5℃下では明暗両条件においてすべての種子が不発芽で発芽率は0.00であった(10℃および15℃と有意差あり)(図3D,E, 図3Ga,b; 図6)。10℃における幼根が15℃より小さかった結果を考慮すると、5℃における不発芽の原因は低温による成長速度の遅さにある可能性がある。そこで吸水開始4日後の発芽状況を調べた。その結果、明条件でほとんどの種子が発芽し(発芽率0.95)、発芽率は10℃や15℃の明条件2日後の場合と有意差がなかった(図3Gg)。また暗条件でも半数の種子が発芽し(発芽率0.50)、5℃暗条件2日後と比較して明らかな発芽率の増加(有意差あり)が認められた(図3Gh)。しかしいずれの場合にも発芽種子の幼根の伸長は小さかった(図3F)。この結果は、5℃における不発芽の原因は低温による成長速度の遅さにあることを示す。

3.中高温および高温における発芽様式

つぎに生育適温より高い中高温(25℃以上)および高温(35℃以上)における発芽様式を調べた。まず、25℃、30℃、35℃ 2日後における発芽状況を生育適温である20℃の場合と比較した。25℃においては明条件ではほとんどの種子が発芽したが(発芽率0.98、20℃の明暗両条件と有意差なし)、暗条件では約半数しか発芽しなかった(発芽率0.47、25℃の明条件および20℃の暗両条件と有意差あり)(図4A,B; 図5e,f; 図6)。30℃では明条件においても少数の種子が発芽せず(発芽率0.70、25℃明条件と有意差あり)、暗条件ではすべての種子が発芽しなかった(発芽率0.00、30℃明条件および25℃暗条件と有意差あり)(図4E,F; 図5i,j; 図6)。そして35℃では明暗両条件において発芽する種子はなかった(発芽率0.00)(図4I,J; 図5m,n; 図6)。以上の結果から暗条件では25℃以上で発芽率が低下し30℃以上で不発芽となること、明条件では30℃以上で発芽率が低下し、35℃では不発芽となることが分かった。結果的に、25℃と30℃では明条件における発芽率が暗条件における発芽率より高くなった。また、25℃と30℃における発芽種子の幼根と胚軸の伸長は明暗両条件でどの温度でも20℃より大きかった(図4A,B,E)。この事実は中高温および高温における発芽率の低下は成長速度の低下によるものではないことを示唆する。

図4 中高温および高温における発芽様式(写真)
A: 25℃明2日後。19個が発芽。*:不発芽種子。B: 25℃暗2日後。10個が発芽。*:不発芽種子。C: 28℃明2日後。D: 28℃暗2日後。1個が発芽。+:発芽種子。E: 30℃明2日後。14個が発芽。*:不発芽。F: 30℃暗2日後。G: 33℃明2日後。3個が発芽。+:発芽種子。H: 33℃暗2日後。I: 35℃明2日後。J: 35℃暗2日後。 K: 30℃明4日後。17個が発芽。 *:不発芽。1個の幼芽は小くて形態異常を示す(矢印)。 L: 33℃明4日後。7個が発芽。*:不発芽。
図5 中高温および高温における発芽様式(発芽率)
フィッシャーの正確確率検定を用いてholm法、hochberg法、BH法(fdr)による多重比較を行った。記号:各実験区に割り当てた記号。 有意差:その実験区と有意差のある他実験区を記号で示した。有意水準:0.05。黒字はholm法、hochberg法、 BH法(fdr)のすべてで有意差がある実験区を示す。赤字はBH法(fdr)でのみ有意差が検出された実験区を示す。

中高温および高温における発芽率の低下がどの温度から始まるのかをより詳細に調べるために、23℃、28℃、33℃ 2日後における発芽状況を調べた(図4C,D,G,H; 図5c,d,g,h,k,l; 図6)。23℃の暗条件における発芽率は高く(発芽率0.90)20℃の暗条件と有意差はないが、25℃の暗条件とは有意差があった(図5d)。また、28℃の暗条件ではほとんどの種子が不発芽(発芽率0.05)で、30℃の暗条件と有意差がなかった(図4D; 図5h)。したがって暗条件における発芽率の低下は25℃から生じ、28℃でほとんど不発芽となることが分かった。

一方、28℃の明条件ではすべての種子が発芽し、25℃の明条件と有意差はなかったが、30℃の明条件とは有意差があった(図5g)。また、33℃では明条件における発芽率は大きく減少し(発芽率0.10)、30℃明条件と有意差があるが35℃明条件とは有意差がなかった(図4G; 図5k)。したがって明条件における発芽率の低下は30℃から生じ、33℃ではほぼ不発芽となることが分かった。

結果的に28℃から30℃までの温度では暗条件における発芽率が明条件における発芽率より低く、光発芽種子の性質を示すことが分かった。また、33℃以上では明暗両条件でほとんどの種子が不発芽となり、非発芽種子の性質をしめすことが分かった。

最後に中高温および高温における発芽率の低下や不発芽が成長速度の低下によるものではないことを確認するために30℃、33℃、35℃で吸水開始4日後の発芽状況を調べた(図4K,L; 図5o,p,q,r,s,t)。その結果30℃、33℃、35℃のすべてで、明条件暗条件ともに吸水開始4日後の発芽率は2日後の発芽率と有意差はなかった(図5o,p,q,r,s,t)。また、発芽種子の幼根と胚軸は20℃2日のものより大きかった(図4K,L)。この結果は高温における発芽率の低下と不発芽種子の増加は成長速度の低下によるものではないことを示す。

4. 明条件および暗条件下の発芽率に対する温度の影響

 温度変化にともなう明暗両条件下の発芽率変化を俯瞰的に比較解析するためにこれまでに述べた吸水開始2日後のデータをもとに温度発芽率グラフを作成した(図6)。グラフから、明暗両条件ともに温度が生育適温を超えると発芽率が低下するが、低下がおこる温度は明暗両条件で違うことがわかる。すなわち、暗条件では低温から生育適温までの範囲(10℃~23℃)で発芽率が高く、中高温の23℃を超えると低下し、28℃以上ではほとんどゼロとなる。一方、明条件では低温から中高温の範囲(10℃~28℃)で発芽率は高く、30℃から急速に低下し、高温の33℃以上ではほとんどゼロとなる。ここから、非光感受性発芽から光発芽への発芽様式変化が、温度上昇に伴う発芽率低下と関係することが示唆される。

図6 明条件および暗条件下の発芽率に対する温度の影響


5. 他のレタス品種の発芽様式

レタスにはグランドラピット以外にも形・色と用途の異なる多くの品種がある。そこで他の6品種について生育適温の20℃における発芽様式を調べて、グランドラピットと比較した。グランドラピットは緑色の葉レタスである。もう一つの緑色葉レタス品種であるグリーンウエーブ、赤紫色の葉レタス品種であるレッドウエーブとレッドファイヤー、結球性レタス品種であるフリフリッカーとシスコ、かきレタス品種であるチマサンチュを用いた。その結果、すべての品種でグランドラピットと同様に明暗両条件下でほとんどの種子が発芽した(発芽率 0.95~1.00)(図7A,B)。すなわち、これらの品種もグランドラピットと同様に生育適温では光発芽せず、光非感受性発芽を行った。

図7 様々な品種の20℃における発芽様式 A:様々な品種の20℃における発芽状況(写真)。1: グリーンウエーブ・20℃・明。矢印:発芽種子、幼根の伸長が短い。2: グリーンウエーブ・20℃・暗。3: レッドウエーブ・20℃・明。4::レッドウエーブ・20℃・暗。5: レッドファイヤー・20℃・暗。+:不発芽種子、異常伸長。6: フリフリッカー・20℃・暗。*:不発芽。7: シスコ・20℃・暗。8: チマサンチュ・20℃・暗。
B:様々な品種の20℃における発芽率。グランドラピッドとグリーンウエーブ:緑色の葉レタス。レッドウエーブとレッドファイヤー:赤紫色の葉レタス。フリフリッカーとシスコ:玉レタス。チマサンチュ:かきレタス。有意差:その実験区と有意差のある他実験区を記号で示す。フィッシャーの正確確率検定を用いてholm法、hochberg法、 BH法(fdr)による多重比較を行った。記号:各実験区に割り当てた記号。 有意水準:0.05。すべての実験区間で有意差はなかった。


考察

本研究では市販レタス種子の発芽様式に及ぼす温度の影響を調べた。その結果、市販レタス種子は典型的な光発芽種子ではなく温度上昇にともない発芽様式を変化させる種子であることがわかった。すなわち、①市販レタスのグランドラピット品種は休眠しておらず、生育適温を含む15℃~23℃では明暗両条件で高率に発芽し、非光感受性種子の性質を示した。②低温では温度低下に応じて成長速度は下がったが、やはり明暗両条件で高率に発芽した。③中高温の25℃から30℃では明条件では多くの種子が発芽したが暗条件では発芽率が低下し、28℃~30℃では多くの種子が光発芽種子の性質を示した。④高温の33℃以上ではほとんどの種子が明条件においても発芽せず、非発芽種子の性質を示した。⑤他のレタス6品種も成育適温の20℃では非光感受性種子の性質を示した。

自家採種したレタス種子は市販種子と同様に温度により異なる発芽様式を示す

市販種子の示す性質は種苗会社による採種後の処理が明らかではないため必ずしも自家採種した種子と同じだとみなすことはできない。Suzukiほか(1980)とSuzuki(1989)には、本研究とおなじレタス品種グランドラピットの自家採種種子をもちいて暗条件とR(赤色光)照射条件とで行った発芽実験のデータが報告されている。そこでこの報告をもとに自家採種したレタス種子の発芽様式を推定し、市販種子を用いた本研究結果と比較した。

Suzukiほか(1980)およびSuzuki(1989)によると、自家採種種子では採種直後から48ケ月まではほとんどの種子が生育適温の15℃と20℃で明暗両条件において高率に発芽し、両条件における発芽率の差が拡大するのは採種60ケ月以後であった。したがって自己採取種子は採種後48ケ月までは休眠しておらず、非光感受性種子の性質を持つ。

25℃では採種直後(または採取直後から6ケ月後まで)と48ケ月後から66カ月後までの期間、30℃では採種後6ケ月から48ケ月までの期間、暗条件での発芽率が明条件での発芽率より低かった(Suzukiほか,1980;Suzuki,1989)。したがって、自家採種種子は中高温の25℃と30℃で光発芽種子の性質を持つ。

35℃における自家採種種子の発芽率は調べられていない(Suzukiほか,1980;Suzuki,1989)。しかしSuzukiほか(1980)は30℃で採種後0~6カ月の期間、明暗両条件において低発芽率あるいは不発芽となるとし、Suzuki(1989)は30℃で採種直後と採種後48ケ月から66ケ月までの期間、低発芽率あるいは不発芽となるとしている。したがって自家採種種子は35℃では非発芽種子である可能性が高い。

以上からレタス品種グランドラピットの自家採種種子は、生育適温および低温では非光感受性種子、中高温では光発芽種子、高温では非発芽種子の性質を示すことがわかる。この結果から市販レタス種子と自家採種種子とはどちらも温度上昇にともない、同様の発芽様式変化を起こすことがわかった。

レタスは典型的な光発芽種子ではない

従来、レタスは代表的光発芽(好光性)種子として専門書や理科教科書で取り上げられてきた(浅島ほか, 2017; 本川・谷本ほか, 2017; 嶋田ほか, 2017; 庄野・戸塚ほか, 2017; 吉利ほか, 2017; 平沢・大杉, 2017; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。しかし、本研究やSuzukiほか(1980)、Suzuki (1089)にあるように、レタス品種グランドラピットは生育適温を含む23℃以下では発芽に光を必要とせず、明暗両条件で発芽する非光感受性種子の性質を示した。光発芽種子の性質を示すのは中高温の28℃から30℃においてだけである。光発芽種子とは「光により発芽が促進される種子」(日本種苗協会、2017, 2018; )、あるいは「光を照射しないと発芽しない種子」「発芽に光を必要とする種子」(平沢・大杉、2017; 日本種苗協会、2017; テイツほか、2017)と定義される。この定義に従えば、グランドラピットの発芽様式は固定的なものではなく温度により変化することがわかる。すなわち、生育適温を含む低温・中温の広い温度範囲では非光感受性発芽を行い、生育適温を超える中高温でのみ光発芽を行う。

本研究ではグランドラピット以外の6品種も生育適温の20℃では非光感受性発芽を行い、光発芽をしなかった。この結果から、温度変化にともなう発芽様式変化はレタス種子一般の特徴である可能性が高い。この可能性は日本種苗協会(2018)からも支持される。すなわち、レタス種子は「高温下ほど好光性が強い」と述べ、低温や中温における好光性の弱さを示唆している。様々なレタス品種の中高温における発芽様式の比較研究が期待される。

中高温における光発芽と高温における非発芽は今後の研究課題

中高温における光発芽の出現には、理論的には二通りのしくみが考えられる。光発芽機能が強まる場合と、非光感受性発芽機能が弱まる場合である。本研究により発芽様式の変化は温度上昇による発芽機能の低下と関係することが示唆された。すなわち、23℃以下では非光感受性発芽を行うが、23℃を超える中高温では暗条件における発芽率が低下し28℃と30℃では光発芽を行った。そして、30℃を超えると明条件における発芽率が低下し33℃以上の高温では非発芽となった。この事実は、中高温における光発芽様式への変化は非光感受性発芽機能の低下・喪失による可能性を示している。また、高温における非発芽への変化は光発芽機能の低下・喪失による可能性を示している。

日本種苗協会(2017,2018)はレタスは好光性種子であり、キク科の野菜として一次休眠するとしている。しかし、本研究およびSuzukiほか(1980)、Suzuki(1989)にあるように、採種以後の時期で好光性をしめすのは中高温においてだけであって生育適温では発芽に光を必要としない。すなわち、この好光性は休眠を意味するものではない。今後の検討が必要である。

また、日本種苗協会(2017,2018)はレタスは高温では二次休眠し発芽率が低下するとしている。本研究およびSuzukiほか(1980)、Suzuki(1989)においても30℃または35℃以上では明条件における発芽率が低下し非発芽となった。しかしこの非発芽状態がはたして休眠なのかそれとも休眠以外の何かなのかは今後の研究課題である。

レタスにおける光発芽の適応的意義には疑問がある

上述のようにレタス品種グランドラピットは中高温で光発芽をおこなう。この光発芽にはフィトクロムがはたらいており、R(赤色光)で促進され、FR(遠赤色光)でその効果がキャンセルされる(浅島ほか, 2017; 本川・谷本ほか, 2017; 嶋田ほか, 2017; 庄野・戸塚ほか, 2017; 吉利ほか, 2017; Suzukiほか, 1980; Suzuki, 1989; 鈴木ほか, 2016; 長野ほか, 2016; テイツほか, 2017; 日本種苗協会, 2017, 2018)。光発芽の適応的意義は、種子が土壌中あるいは他植物の葉陰にあるときの発芽抑制と、日の当たる場所での発芽促進にあるとされている。しかし、この説明はただちにレタス種子に当てはまるものではない。光がなぜ生育適温や低温では不要であり、中高温でのみ必要なかの説明がないからである。

考えてみれば今回用いた品種は栽培植物であり圃場で栽培されるので光に対する反応は不要である。むしろどんな光条件下でも発芽率が高い方がよい。市販レタスの発芽様式はこうした環境に適応した結果なのかもしれない。すなわち、「レタスは野生ではどの温度でも光発芽する特性をもっていたが、発芽率の向上を求める人間の育種・選抜により、生育適温および低温における非光感受性発芽機能が強められた。しかし、生育に不適切な高温においては発芽率の向上は育種・選抜の対象とされなかったので、今日では中高温でのみ光発芽種子の性質を示す」という仮説が可能である。実際、グランドラピット以外のレタス6品種でも生育適温では光発芽を行わず、非光感受性発芽をした。レタスの野生種や近縁種を用いた今後の比較研究が期待される。

生徒理科研究のための関連テーマの提案

本論文では市販レタス種子が自家採種種子と同様に温度により異なる発芽様式を示すことを明らかにした。この結果は、市販種子をもちいた発芽研究の大きな可能性を示す。本論文では実験方法や結果のまとめ方を一般の研究論文では過剰なほどに詳細に説明した。これを参考に市販種子をもちいた多くの生徒理科研究を期待したい。

農業試験場や種苗会社は広範な種子の発芽試験を行なっている。日本種苗協会(2017, 2018)には一次休眠および二次休眠をする多くの野菜種子が紹介されている。この中にはレタスと同様に低温でよく発芽する「光発芽種子」や逆に高温でよく発芽する光発芽種子が紹介されている。これらの種子はレタス種子と同様に温度依存的に発芽様式の変化を示すのだろうか。また、光で発芽が抑制される暗発芽(嫌光性)種子があり、カボチャやスイカの種子は低温ほど嫌光性をつよめるという(日本種苗協会, 2018)。これらの種子は温度により発芽様式を変化させるのだろうか。さらに日本種苗協会(2018)には150種を超えるさまざまな野菜・草花・牧草の種子について発芽試験結果と栽培方法がまとめられている。ここには花芽形成が日長により決まるもの、温度により決まるもの、植物体の栄養状態により決まるものが紹介されている。花芽形成機構の違いは種子発芽様式の違いと関係があるのだろうか。

市販種子の入手は容易である。ホームセンターに行けばさまざまな野菜・草花の種子が手に入る。ネットを利用すれば日本の主要な種苗会社(タキイ種苗、サカタのタネ、カネコ種苗、アタリヤ農園、その他)の種子を入手できる。菓子・食品材料店(富澤商店や大型スーパー)では豆類、穀類の種子が手に入る。


謝辞

 研究を行うにあたり、京都大学の長谷あきら教授にはテイツほか(2017)に書かれたフィトクロム反応についてご教示いただいた。また、農研機構遺伝資源センターの小柳千栄氏には発芽試験方法の資料をご紹介いただいた。

研究費補助金

研究費補助金は受けていない。

利益相反

 利益相反はない。


引用文献

浅島誠 他20名(2017):生物 高校教科書、東京書籍。

Asset Management Consulting(ホームページ): R言語|統計的検定の種類と選択、 Science and Engineering Café、
https://saecanet.com/content/statisticaltest01.html#anova01unpaired、2021/07/08。

平沢正・大杉立 (2016):作物 生産生理学の基礎、農文協。

石浦章一・鎌田正裕 他105名(2021):わくわく理科5 小学理科教科書、 啓林館。

高知の田舎で耕すデータサイエンス農家のブログ(ホームページ): Rでフィッシャー正確確率検定をしさらに多重比較を行う方法、https://www.xtraetc.xyz/entry/fisher_exact_test_muticomp_1、2021/08/11。

大阪大学腎臓内科(ホームページ):多重比較、Clinical Journal Club、
https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/clinicaljournalclub1.html、2021/07/08

本川達雄・谷本英一 他16名(2017):生物 高校教科書、啓林館。

毛利衛・大島まり 他100名(2021):新しい理科5 小学理科教科書、東京書籍。

村松久和・石田周治(2021):楽しい理科5 小学理科教科書、信州教育出版。

長野敬・牛木辰男 他10名(2016):サイエンスビュー生物総合資料三訂版、実教出版。

日本種苗協会(2017):タネ・苗のきほん、誠文堂新光社。

日本種苗協会(2018):新・種苗読本、農文協。

嶋田正和 他21名(2017):生物 高校教科書、数研出版。

霜田光一・森本信也 他44名(2021):みんなと学ぶ小学校理科5、小学理科教科書、学校図書。

鈴木孝仁 他6名(2016):三訂版フォトサイエンス生物図録、数研出版。

Y.Suzuki (1989): Influence of aging on photo- and thermo-control of seed germination in Grand Rapids Lettuce (Lactuca sativa L.), Environ. Control in Biol. 27(4): 125-136.

Y.Suzuki, Y.Soejima & T.Matsui (1980): Inffuence of ager-riping on phytochrome control of seed germination in two varieties of lettuce (Lactuca sativa L.), Plant Physio. 66: 1200-1201.

庄野邦彦・戸塚雄弐 他12名(2017):生物 高校教科書、実教出版。

L.テイツ・E.ザイガー・I.M.モーラー・A.マーフィー(2017):植物生理学・発生学 原著第6版、西谷和彦・島崎研一郎(監訳)、講談社サイエンティフィック。

吉利勝利 他16名(2017):高等学校生物 高校教科書、第一学習社。

養老孟子・角屋重樹 他32名(2021):未来をひらく小学理科5 小学理科教科書、教育出版。


(英文)標題・著者名・要旨

 Commercially available lettuce seeds (Lacruca sativa L.) are not photoblastic at the optimal temperature for growth.

by Hidenobu Tsujimura

Effect of temperature on the manner of germination was examined in commercially available lettuce seeds (Lactuca sativa L.). As results, 1. Seeds of a lettuce var. Grand Rapids are not typical photoblastic seeds. They germinated in different manners depending on the temperature. 2. Seeds germinated in a light-independent manner at 15℃ to 23℃ including the optimum temperature for growth. 2. At lower temperature, growth was delayed as temperature gets lower, but they germinated in a light-independent manner. 3. At moderate high temperature of 28℃ to 30℃, seeds were photoblastic. The rate of germination gets lower in dark condition but most seeds germinated in light condition. 4. At temperature higher than 30℃, the rate of germination gets lower in the light condition and most seeds failed to germinate in both light and dark condition at higher than 33℃. 5. Six other lettuce variations germinated in a light-indent manner at 20℃. These results show that commercially available lettuce seeds take different manner of germination depending on temperature. Commercially available seeds will be good materials for research on seed germination by high school students.